イラストのこと、キャラクターデザインのこと。/坂崎千春

イラストのこと、キャラクターデザインのこと。

イラストのこと、キャラクターデザインのこと。

suicaペンギン、カクカクシカジカ、クウネル君、チーバ君などを手がけたイラストレータ坂崎千春さんによるキャラクターデザインの考え方。ぼくは坂崎さんの絵が好きでいちどお仕事でご一緒したいと思って、偶然キャラクターの仕事がしたときに会議でしつこく坂崎さんの名前を出して、営業さん経由でアプローチしてもらったことがありました。そのときはスケジュールの都合でムリとのこと(こちらが急なお願いすぎました)でしたが、やはりこの本を読んで、またお願いできたらいいなあと思いました。
カクカクシカジカの話はすこし意外で驚きました。キャラクターのオリエン時から、すでに「メガネをかけたシカ」「知性派タイプ」「やわらかい手作り感」などは決まっていたそうです。電通チームさすがだ…と思うとともに、坂崎さんがプロしてうまく打ち返していてすばらしいと思いました。
またキャラクターが丸い形をしていることについて「中身がしっかりつまっていて、表面に張り感があるのが理想」といってて納得していましました。たとえば佐藤雅彦さんの作るキャラクターも同様にぷるぷるの手書き線が使われていますが、やはり坂崎さんの絵がちがくみえるのは、その膨らんだ「張り感」のようなものが影響しているのかなと思いました。
そのほかいろいろなキャラクターの制作過程や「こんなこともおしえちゃうのか」というような制作時の線や面の使い方なども紹介してあります。またそれらが坂崎さんの平易でやさしい文章で描かれていて、読み物としてもすてきな本になっていると思いました。全体をとおして、坂崎さんの素直な性格というか、等身大でものごとを理解して考える姿勢のようなものが伝わってきて、だからこそみんなに理解され愛されるキャラクターが作れるのだろう、と思いました。