東京物語/小津安二郎

妻が里帰り出産のために不在で、一人の時間が続いている。
ぼくの住処は、そこそこ広いロフト付きの天井の高い部屋で、居心地はいい。ただ見知らぬ土地にもう5年もいて、ふと帰り道に自転車を漕いでいると、なぜここにいるのかが分からなくなる時もある。会社以外で誰とも顔を合わせないと、そんな心細い気持ちになる。
そんな折、amazon primeの無料特典でひさびさに『東京物語』を鑑賞した。

家族というのは、当たり前のようにあって、家族らしくあることがけっこう難しいものだ。映画の中では、香川京子さん演じる京子が、他の家族の振る舞いを批判する。と同時に、それは若いからだ、だんだんとそうなってくるのだ、ともいう。そのようなものかもしれない。実際、最も家族らしい振る舞いをする原節子さんも、実は最も他人であり、「私はズルい」と夫の存在が消えかかっていることを告白している。
今の自分は、どうだろう。妻、両親、義理の両親、親戚…と思い浮かべて、幸せだなぁと思う。今の家族のあり方がこの先ずっと続くわけもない。それが世の摂理であることは映画を見ても分かることだが、そうであるからこそ、幸せと思える今があるだけで、たとえ朽ちても幸せな家族と言える気がする。

ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる/木村健太郎, 磯部光毅

ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる

ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる

きょうは早く帰れそうだぞ…と思ったら、まさかの画面確認待ちをくらい、PCの前にハリツケにされています。
そんな中でよかったのは、この本を読めたからです。ページ数は一見多いですが、文字数が非常に少なくシンプルなので、一気読みできました。
思考を「街の思考」「森の思考」に分けて整理し、それぞれの思考方法を説明してくれます。アブダクションやアナロジーなど代表的な思考法については、同じ事例を用いながら、ブレイクスルーのやり方のちがいを説明してくれ、大変分かりやすいです。また冒頭のブレイクスルーとはどういう現象化を説明してくれているのも非常に分かりやすい。何度か自分が経験したそれが、なるほどそういうことだったよね、はっきり見せてくれます。もともと評判が良い本ですが、ほんとうに当たりとおもいます。

天使の分け前/ケン・ローチ監督

先週末にシネリーブル梅田で見て来ました。はじめて行ったのですが、いい映画館ですね。画面はちいさくていまいちですが、なんだか商業感が妙にないのがいいです。なんだか高校の情報室で見ているような感覚。そういえば、一緒にいった友人は高校の同級生でした。彼はケンローチのファンで、ちょうど『ケス』のDVDも貸してくれました。
さて本作ですが、映画ファンのなかでは賛否が分かれているようです。ケンローチ作品に似合わないコミカルなやりとりや、どうしようもない下ネタが不評を生んでいるように思います。正直、下ネタ部分は明らかな減点ポイントだとは思いますが、そんなことよりも舞台の風景の美しさや心情表現に目がいく映画だと思います。スコッチをたしなむシーンも、そのちょっとした表情の変化にぐっときます。急展開ですすむ後半とラストシーンは、友人曰く、これこそがケンローチからの『天使の分け前』だ、とのこと。ドヤドヤで話してましたが、そんな気もします。スコッチが好きな方はいかがでしょうか。レンタルビデオでウィスキー片手に見るのが、ただしい見方だと思います。見所は、ありえないくらい速い「まじダッシュ」のシーンです。

ひさしぶりにここを思い出したので。

なんだかごめんなさいっていうくらい更新しませんでしたが、こんなインターネットのはじっこで、だれが読んでるかもわからないブログで、そんな前置きはいらないのかもしれません。
最近は、というか関西に異動になってから、ほんとうに忙しくばたばたと過ごしています。じぶんの年齢と、先輩の年齢を見比べて、じぶんはまだまだだとか、思ったりもします。
そんな中で、やはり同じことは続けてられないなぁとも感じています。すこしでもあたらしい挑戦がないと、パワーがわいてこない。じぶんで言うのはどうかと思いますが、ぼく元来マジメなんです。だから与えられたらマジメにこなしますが、やはりモチベーションがほしい。それナシにやるには、ぼくは若すぎるのです。長く続ける挑戦もあると思いますが、ぼくの職場ではあまり意味がない。やっぱり変化、というか、次これやりたいなとあれこれ思う、スピード感や挑戦感がほしいです。それをどう会社で見つけていくか、はたまた飛び出すのか、それが最近のぼくの興味です。
みんなは元気しているのかな。宙につぶやいてみます。

インバウンド・マーケティング/ブライアン・ハリガン, ダーメッシュ・シャア, 川北英貴, 前田健二

インバウンド・マーケティング

インバウンド・マーケティング

マス広告を大量投下するアウトバウンドの時代は終わり、見込み客を引き寄せ顧客にしていくインバウンドを今後のマーケティングを主流にしていくべき、というもの。インバウンドマーケティングについてはおそらく日本の通販会社(ドモホルンリンクルやサントリーセサミンなど)が最も進んでいると思いますが、従来のCM→電話のみならず、ソーシャルメディアの活用や検索サイトでの見つかり方(SEO等)について述べています。
「インバウンド」というワードを定着させるために一役買われた本になるのでしょう。教科書的にまとめてあるので(むしろこんな細かな基礎的なことまで書く必要あるのかとも思う部分もありますが)基礎本として読んでおくべきだと思います。関係ないですが著者がCEOをつとめるHubspotはすてきな社内ルールがあるそうです。うらやましい。

絶望の国の幸福な若者たち/古市憲寿

絶望の国の幸福な若者たち

絶望の国の幸福な若者たち

最近メディアでも人気の古市くんの出世作ともいえる本著。彼はふだんからクレバーで分析肌の男だと思いますが、本著のなかでもびしばし世の中も他の若者本を切っています。マーケティング関連本についてはなにもそこまで言わなくても…という感を否めないですが、彼のすこし斜めにかまえた口調を感じつつ、軽快におもしろく読めます。

武器としての決断思考/瀧本哲史

武器としての決断思考 (星海社新書)

武器としての決断思考 (星海社新書)

人気シリーズ本です。整理されていて、分かりやすく読めます。演習が多く、都度都度じぶんで考えて読む形式になっています。良著だと思うので、他の本も読んでみたいと思いました。
また若者向けに書かれているため、若い方へ向けたメッセージも多いです。一言でいうと、じぶんで考えて生きなくてはだめな時代になっている、ということです。ここもずしりときます。