家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇/岩村暢子

家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇

家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇

きのうに引き続き、ADK岩村さん本。ADKが行なっている「食ドライブ調査」は13年目へ。膨大な「普通の家族」の食卓の写真から近年の傾向を読み解いています。本著はデータとして扱っている「写真+キャプション」を多く登場させて、視覚的に理解できるように配慮してあります。なかなか見ていて面白いので、眺めるつもりで見るだけでも楽しめると思います。
この写真が、けっこう生々しいです。ぼくが胸をワッとつかまれたのは、テーブル上の食べ物をうつしているつもりが周囲にある雑多なモノまでが写りこんでいる写真。並べられた夕食の周りにテレビのリモコン、灰皿、ハミガキ、化粧品、CD、ティッシュ、文具、ヘアピン…などが汚く配置されている。思わず、「おぇ」となってしまいそうなリアルさ。たしかに自分の家にも、こういうタイミングはあるかも。これを見ると「普通って怖い」というのがまざまざと感じます。以下はいくつか抜粋。

●家庭の野菜不足は年々進行。食卓に出る回数も減少、出ていても、ミニトマトやキュウリ数切れ 「野菜は数日単位でたべればいい」「生は面倒なので冷凍野菜」「どうせ食べないのに無駄なことはしたくない」 →野菜のストックをしない主婦 子供が便秘気味に
●インスタントラーメンを作るときも、「具なし」が増えてきている 「素ラーメン・素パスタ・素やきそば」 チャーハン、オムライス、おにぎりにも「具なし」に 「具をいれると子供がたべない」「具を入れるのが面倒」「冷蔵庫にストックがない」 「せっかくの添付ソースの味が薄まる」「野菜をいれるとまずくなる」 具はトッピング感覚。海苔やゴマ、乾燥ハーブなどをふりかければ満足に 作り手も変化
●ごはん代わりにお菓子を食べるひとも増加 「饅頭とお茶で朝食」「ムシケーキ」「チョコ」「休日朝はアイス」「たまごボーロと牛乳」「あめ」「うまい棒
●単一素材料理も増加 「焼いた豚肉だけ」「キャベツだけサラダ」「芋だけ煮物」「豆腐だけ味噌汁」
●3食たべるのは分かっているはずなのに…おなかが減ってからはじめて「さて、どうしよう」「ウチになにもない」 すると、簡単にたべれるファートフードや弁当などに依存してしまうことになっている様子
●主食と副食の位置づけが曖昧に。主食×主食=豪華な食事がふえている 「やきそばをおかずにごはん」「サンドイッチと焼きそば」「カップ麺とおにぎり」「パンと卵かけごはん」 家にあるもので簡単に→加工食品のみ
冷蔵庫の整理→冷凍食品・残り物の主食
●残業後の父親の夜食は、残り物が準備されていない ただし、父親は不幸と思っておらず、コンビニで自分の好きなものを買うことを楽しんでいる様子
●幼稚園の弁当も、「子供が好き嫌いせずに残さないで食べる弁当」を幼稚園側が推奨 好き嫌いは、「学校に入ったら給食でなおるんじゃないの?」
●こどもの習い事も食生活が崩れる原因に 「送迎があったから時間がなかった」「帰宅が17時よりおそくなるので、家で作るのは無理」
●こどもが空腹で待てない!と騒いで、ごはんが簡素になるケースも 「こどもがうるさいから20−30分でできるものしか作らない」「スナック菓子をあたえてしまう」
●一緒に食卓を囲んでもちがうものを食べる「バラバラ食」から お腹がすいたときに好きなものを勝手に食べる「勝手食い」へ 「夫は7時におきて出勤中におにぎり、こどもは起きて好きなものを、私は10時くらいまで食べる気にならない」