東京考現学図鑑/泉麻人

東京考現学図鑑

東京考現学図鑑

今和次郎・吉田謙吉による考現学採集の資料を2段組300ページのボリュームで紹介。作者の細かな解説つきです。藤森照信さんの「考現学入門」や川添登さんの「今和次郎―その考現学」など考現学本はいくつも目を通しましたが、まだ見たことない資料がいくつも紹介されていました。とくに後半のカラーで資料を紹介しているのは貴重かと思います。
おもしろかったのは、銀座の章。中央通りの東側には千疋屋不二家コロンバンエスキーモなど喫茶店が多く、モバ・モガは東側を好んで歩いた。反対に西側はカフェ(女給目当ての"カフェー"=俗的)が多く、またデパートが集中していたためビギナーで混雑した。そのため「銀ブラの常連は、ほとんど西側しか歩かない…東側を歩く奴は野暮だとされている」らしいです。
ちなみに吉田謙吉によるカフェの女給さんのエプロンのスケッチがレースや寸法まで細かく採っていて、ちょっと笑ってしまいました。でもすごくリアルです。こういうものが今見れるのもありがたいです。