ゼロから始める都市型狩猟採集生活/坂口恭平

ゼロから始める都市型狩猟採集生活

ゼロから始める都市型狩猟採集生活

「0円ハウス」の著者・坂口恭平さんの本。路上生活者の生活を取り上げ「都会の幸で暮らす」をコンセプトに、都市で金をかけずにいかに暮らすかを論じています。ハウツー形式のようにまとめていますが、もちろんホームレス生活をすすめる本ではないです。彼らのような目でまちをみると、またちがった都市の姿が浮かび上がるのです。
著者はこの本を読んだあとには「高い解像度で都市を見ることができるようになったきみは、社会のルールを何一つ変えることなく、文句一つ言うことなく、独自の生活を作り出すことに成功する」ともいっています。たしかにこれは嘘ではないです(本を読む限り)。たとえば、電気代や水道代はなんとなく分かっていても、それがどのくらいの量かというのを知っている方は少ないでしょう。この本を読むと、それがモノとして理解され、じぶんの身の丈がぐっと分かります。「私は0円で生きていけるのよ。だからお金はいらないわけ」と話す仙人のような路上生活者の言葉には驚きます。彼の言葉をもってじぶんの生活をふりかえると、いろいろな可能性がひろがるようにおもえます。
とても示唆に富んでいると思います。ぼくは社会学を勉強させていただきましたが、建築はいろいろな道があるのですね。こういう本に高校生のときに出会っていたら、もしかしたら建築の道をすすんだ可能性もあるなと思いました(高校時代に理系か文系か悩んだのは、建築があったからでした)。坂口さんのインタビューをよむと、建築という分野へのチャレンジを感じて熱くなりますね。
ちなみに数年前のものになりますが、「ダンボールハウス」も同様に路上生活者の生活を暖かに見つめていて、すてきな本です。
ダンボールハウス

ダンボールハウス