オレンジ・アンド・タール/藤沢周

オレンジ・アンド・タール (光文社文庫)

オレンジ・アンド・タール (光文社文庫)

高校の同級生におすすめされて読みました。オードリー若林の解説が素晴らしくて驚きます。ファンの方だったら、これだけのために読んでもいいと思います。彼は弁天橋の下に居続ける「トモロウ」に自分を重ねあわせて書いています。
反抗か、順応か。それとも社会からスポイルされてだめになっているのか。もしくはそれを拗らせているのか。そんな時間が、もしかしたら誰にでもあるのじゃないかと思う。それを馬鹿にして、さっさと済ませてしまうか、トモロウや若林のようにずっと抱えて生きていくのか。馬鹿真面目で、不器用、でも自分でも自信が持てない。自分がわざわざ損してしまうような人生哲学。そういえば、ぼくにこの本をおすすめしてくれた同級生も、ジーパンにパンクバンドのTシャツ、それにヘッドホンをつける、いかにもモテないスタイルで、ジーパンの後ろポケットには純文学の文庫本をさして歩いていた。彼なりの反抗、彼なりの拗らせ方だったにちがいない。