ビック・フィッシュ

震災中の映画5本目。これも観てませんでした。
老人になると、半分くらい夢のなかで生きているとも言われる。寝ているというだけではない。自分に都合のいい物の見方(想像)とそれに対する周囲の協調で、どんどんそのひとの世界が固まってくる感じ。周囲とはズレていても、本人にとってはそれが生きている世界になる。もっと言えば、それは老人だけではなく、どの人にも少なからず起こっている現象でもある。この映画に出てくる老人(父)は、若いころからずっとホラ話をしてきた。正確にいうと、フィクションの混じった体験話。すべてがうそじゃないからややこしい。それを信じたときもあったが、ウソだと分かってしまうと冷めてしまう。でもみんなが冷めてしまうわけではなくて、ウソだと分かりつつも熱中して耳を傾けるひとがいる。老人の死が近づいて、話にでてきた登場人物に出会うと、ほんとうのところもあると分かる。するとだんだんと、ウソか本当かなんてどっちでもよくて、ようは信じるか信じないか、好きか嫌いかということに気がつく。とても自由で、優しい世界の見方だと思いました。ぼくにとって、そんなふうに見えた映画でした。
回想シーンにでてくるアリソン・ローマンってきれいですね。知りませんでした。ユアン・マクレガーは『ブラス』を観て以来、大好きになってしまいました。やっぱ、いいな。