愛国消費/三浦展

愛国消費 欲しいのは日本文化と日本への誇り

愛国消費 欲しいのは日本文化と日本への誇り

高度経済成長期の「経済大国」という大きな物語(ソリッド)が終焉し、ひとりひとりが生き方を見つけていく小さな物語のポストモダンの時代(リキッド)へ。だが、リキッドな時代は不安だ。とはいえ、ソリッドな時代へは戻れない。だからリキッドでもソリッドでもなく、中くらいの物語=クレイ(やわらかい粘土)を求める。その具体的な物語となるのが、地域らしさや日本らしさである。これは「日本」というイメージだけでは抽象的で不十分なので、具体的な日本の伝統行事や文物を求めるからである。いま再び日本文化への誇りが高まっているのも、地域へ関心が向いているのも、こういった流れの中にある(シビックプライドの重要性もこの文脈で指摘)。またこういった日本志向はエコ志向と結びつきやすいとも考察。
三浦さんの本はすべて目を通しておこうと思いつつ購入。『愛国消費』も大きく想像力を膨らましながら書かれていて面白いですが、他の著書に比べるとやや定量調査結果をたんたんと見せている印象も。あと推移データは信用できるのですが、独自調査の日本への好意度別データ(クロス集計)などは「日本好き」な人のほうが全体的にスコアが高く出ているだけではないかと思っていまい、ちょっと他のデータもみたいなぁ…と思ってしまいました(細かいですかね)。そんなこと言いつつも、三浦さんのマーケターとしての「直感」を楽しむのがこの本の正しい読み方な気もします。