カメラマンからカワラマンへ/山田脩二

カメラマンからカワラマンへ (ちくまプリマーブックス)

カメラマンからカワラマンへ (ちくまプリマーブックス)

山田脩二さんは20-30代と日本で「15人の写真家」として選ばれ一線で活躍しながら「写真家終止符宣言」をし、40代でかねてから決めていた瓦職人に転身。「カメラマンから カワラマン 一字違いの転職です」と挨拶はがき。50代ではいよいよ炭職人へ…
一見関係がないように転身のように見えますが、彼のコンセプトは「焼く」こと。写真もカワラも炭も焼き物。もしかしたらはじめは偶然なのかもしれませんが、彼の中ではしっかり繋がっていて、しかもはっきりと自分の生き方として割りきっています。それが面白い。
また、かなり身軽な方でもあります。「あれこれよけいなことをきっぱりと"否決"することですヨ。この道一すじ…なんて生一本なことは考えず、この道は三すじ四すじ…。ふり返ってみたらどこか全体で"筋道が通っていた"なんのが最高ですネ」。山田さんのキャリアは、自分の強い思いで突き通す部分と周囲の動きやそのときの気分で流れる部分とがあって、そのなかで軽やかに生きている感じがします。
以前、大学の先生から紹介されて以来、ずっと気になっていた本でした。ちょっと意外だったのは、20代からすでに瓦職人になることを決めていたことです。デザイン事務所にいたときに何かきっかけがあったのでしょうか…。そこも聞いてみたいなぁと思いました。