働くひとのためのキャリア・デザイン/金井壽宏

働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)

働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)

じぶんのキャリアを考えることは大事だ。だけどキャリアのことを始終考えるのはなかなか難しい。だからキャリアの節目だけはちゃんと考えよう、という話。またキャリア・トランジションは必死で考えて「デザイン」をしていく姿勢が必要だけど、キャリアの節目と節目のあいだは「ドリフト」(漂流)状態でかまわないとのこと。すこし流されるくらいがよい機会を作ることがあるからだ。(SFC花田光世さんも偶然性や不確実性の効用を大事にする立場をとっているそうです。この話も色々聞いてみたい)
キャリアっていってもなかなか毎日考える優等生にはなれないよね…という立場はありがたいです。でも、その節目っていつくるのだろう?人生の節目ってあとで考えれば分かるけどそのときにはっきりと感じられるものなのだろうか?と思って読み進めていたら、後半のほうに4点ほど節目を感じるポイントが挙げられていました。キャリアのどん詰まり感(焦燥感)/メンターの声/ゆとりや楽しさ/カレンダーや年齢的な区切りだそうです。いずれにしろ節目を感じる「感覚」は大切なようです。
本の最後のほうに述べられていた「スピリチュアル」という話はとても印象に残りました。ひとはパンのためだけに働いているのではない。もっと深い目的を社会性の中で問うているひともいる。短期的なモチベーションだけが仕事の支えになっているわけではない。ただ石を積むのにも「家を作るため」なのか「教会を作るため」なのか「天に近づくため」なのかでだいぶ考え方はちがう。
向き不向きややりたいやりたくないだけでなく、もっと崇高な目的。ここまで考えると、じぶんのキャリアを出発点にして、社会で求めらていることとは?いまはどのような時代か?20年後の社会からみて自分はなにをいましておくべきか?などとどんどん考えが広がっていく気がしました(以前よんだ阿部謹也さんの『自分のなかに歴史をよむ』の内容も思い出されて、少し関連づけながら考えました)。そういえば就活のときに、志を問うてくる人はこういうことを答えて欲しかったのかなといまになって考えました(それにしてもぼくに志を問うた方々はその質問になんと答えれるのだろうか)。ぼくは現在あきらかにキャリア・トランジションのなかにいますが、こういういい機会に深く考えるための材料をいただけた気がしました。
キャリアについてちがう考え方の方もいらっしゃるとおもうので、いい機会なのでいろいろ読んでみたいと思いました。