タイタンの妖女/カート・ヴォネガット・ジュニア

爆笑問題太田光さんがおすすめしていることで普及した本です。ぼくも読んでみましたが、これは強プッシュです。
(本の内容からややそれますが)そもそも夜空の星を見上げることは、過去の光や現在の光を同時に見ることです。なぜならば、数千光年離れている星の光と1秒しか離れていない月などをいっぺんに見ているから。その意味で、空間と時間はかなり近い概念として扱えるようです。ふだんのぼくたちからすると、かなり不思議な感覚ですが…。太田さんがあとがきに書いていますが、この本も"すべて同時におきたこと"として読めると思います。
本の中に、ぼくらのふつうの時間軸から逸脱して宇宙の波動になってしまった人間と、点としての時間(単時点的-パンクチュアル)に生きる人間とが出ています。彼らが大きな意思によって翻弄されつつも、真理に近づいていくのですが、やはり最終的な彼らの幸福は「愛すべき人を愛す」ということで、他人をなくして自分の幸せはないということをメッセージしています。「わたしを利用してくれてありがとう」というメッセージは、かなり胸を打ちました。
偶然先日きいた佐治晴夫先生との話にもかなりむすびついて、面白く読めました。ちなみに、佐治先生が望遠鏡で衛星タイタンを見せてくれたときは、感動してほんとうにクラクラしました。