LOVE/古川日出男

LOVE (新潮文庫)

LOVE (新潮文庫)

小説をレビューする力はぼくにはないのです…が、『ベルカ吠えないのか』を読んでから古川日出男さんが好きになりました。
この『LOVE』も神の視点のように縦横に世界を行き来しつつ主人公を変えながら語っています。ちょっと複雑でいくつものストーリーが絡み合っていて、でもスピード感があって気持ちよく読める感じ。他の登場人物に視点があたるごとに、地図の上をびゅーんと浮遊してそのひとの目線になって覗いているような不思議な感覚を与えてくれます。映画化不可能ともよく言われていますが、納得です。
しかもテーマは猫。舞台は目黒〜五反田周辺(地元)。土地勘があるだけに、それもふくめて面白く読みました。『ベルカ吠えないのか』に比べて、もっと奔放でリズム感に溢れている文章です。